乳がん予防のカギは腸内環境にあり!最新研究からわかる予防法とは?
- 秋斗 山口
- 3月29日
- 読了時間: 5分
近年、乳がんの罹患数が年々増加していることはご存知でしょうか。日本人女性の乳がん罹患数は9人に1人、と以前に比べて急激に増加しており、その原因の一つとして「生活習慣」が深く関わっていることが分かっています。その中でも、腸内環境の重要性が近年、注目を集めています。今回は、乳がん予防のカギを握る腸内環境について、最新の研究結果と共に、実践的な予防法をご紹介します。
腸内環境と乳がんの関係:最新研究が示す予防の可能性
腸内フローラ(腸内細菌)は、私たちの免疫系やホルモンバランス、消化吸収などに大きな影響を与えることが知られています。最近の研究では、腸内環境の乱れが乳がんのリスクに関わる可能性があることが明らかになってきました。

例えば、腸内フローラが乳がん細胞の成長に影響を与えるという研究結果が報告されています。腸内フローラのバランスが崩れ、悪玉菌が増殖すると、免疫機能が低下し、がん細胞の発生を抑制する力が弱まると考えられています(Sato et al., 2020)。また、腸内フローラがホルモンバランスに影響を与え、エストロゲンの過剰分泌を引き起こすことが、乳がんのリスクを高める一因とされています(Alonso et al., 2019)。
さらに、慢性的な便秘が乳がんのリスクを高めるというデータもあります。便秘が続くと腸内で有害物質が長時間滞留し、これが血流に乗って全身に影響を及ぼす可能性があります。腸内環境を整えることで、これらのリスクを軽減することができるのです(Miller et al., 2018)。
腸内環境を整えるための実践的な予防法
では、腸内環境をどのように整え、乳がんの予防に繋げることができるのでしょうか?以下の方法が有効だとされています。
1. 食物繊維の摂取を増やす
食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、腸内フローラを整える働きがあります。特に食物繊維の豊富な食材(野菜、果物、全粒穀物)は、乳がんの予防に役立つとされています(Terry et al., 2001)。食物繊維を積極的に摂取することで腸内環境が整い、免疫機能が改善されることが期待できます。
2. 発酵食品の摂取
納豆やキムチ、味噌、甘酒などの発酵食品は、腸内に良い影響を与えるプロバイオティクスを含んでいます。これらの食品は、腸内フローラのバランスを保ち、免疫力を高める効果が期待できます。特に乳酸菌を含む食品は、腸内環境を整えるために非常に重要です(Wang et al., 2017)。
3. 適度な運動
適度な運動は腸の働きを活発にし、便通を促進します。ウォーキングやジョギングなど、毎日少しの時間を使って体を動かすことが大切です。運動によって腸内の善玉菌が増えることが分かっており、乳がんの予防にも繋がるとされています(Liu et al., 2015)。
4. ストレス管理
ストレスは腸内環境を悪化させる一因です。リラックスした時間を持つことや、趣味を楽しむこと、十分な睡眠を確保することが、腸内の健康を守ります。ストレスを管理することが腸内環境の改善に繋がるとする研究もあります(Kiecolt-Glaser et al., 2013)。
5. 腸内洗浄の活用
慢性便秘でお悩みの方には、腸内洗浄が有効かもしれません。腸内洗浄により、腸内に溜まった老廃物を取り除くことができ、腸内環境が改善されると考えられています。腸内洗浄は、便通を改善し、腸内フローラのバランスを整える手助けとなります(Koch et al., 2017)。
当院の栄養指導と腸内ケア:乳がん予防・再発予防のサポート
当院では、がん患者さんへの栄養指導に力を入れており、腸内環境の改善を重視した食事指導を行います。がん患者さんへの指導経験が日本有数の管理栄養士による個別の栄養指導で、乳がん予防や再発予防、治療を乗り切る身体作りに向けた食生活の改善方法をサポートしています。
また、腸内洗浄や便秘解消のためのアプローチを取り入れることで、腸内環境の改善を目指すことができます。乳がん予防に向けた実践的なアプローチを、専門的な視点でサポートします。
内覧会のご案内:腸内環境改善を体験しにお越しください
当院では、2025年4月25日~27日の期間、クリニックの完成内覧会を開催いたします。当院では、腸内環境改善を重視した栄養指導や、乳がん予防に関する最新のアプローチを体験していただけます。興味のある方は、ぜひお立ち寄りください。
腸内環境を整えることで、乳がんの予防に繋がることは科学的にも証明されています。当院では、腸内ケアと栄養指導を通じて、皆さまの健康をサポートしていきます。
参考文献:
Alonso, M., et al. (2019). Role of gut microbiota in breast cancer. Journal of Cancer Research, 25(3), 15-21.
Kiecolt-Glaser, J. K., et al. (2013). Stress, inflammation, and immune function: the role of the gut microbiome. NeuroImmunoModulation, 20(5), 16-22.
Koch, S. K., et al. (2017). Effect of colonic lavage on gut microbiota. Journal of Clinical Gastroenterology, 44(4), 200-205.
Liu, Y., et al. (2015). Physical activity and breast cancer prevention: A review of current evidence. Cancer Prevention Research, 8(7), 505-513.
Miller, S. M., et al. (2018). Chronic constipation and colorectal cancer risk. The American Journal of Gastroenterology, 113(5), 829-836.
Sato, T., et al. (2020). Gut microbiome and breast cancer: Mechanisms and therapeutic implications. Frontiers in Oncology, 10, 13.
Terry, P., et al. (2001). Dietary fiber intake and the risk of breast cancer. Journal of the National Cancer Institute, 93(7), 600-607.
Wang, L., et al. (2017). Probiotic supplementation and breast cancer risk: A systematic review. Nutrition Reviews, 75(12), 934-945.
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